
基本的人権は、憲法第3章で保障される、国家から個人の自由と平等を守るしくみです。範囲が広いので、まず分類・主体・違憲審査の基準という地図を持つのが近道。この記事で全体像を俯瞰し、主要判例の解説に案内します。
この記事の要点
- 人権の分類=自由権・参政権・社会権+平等権(14条)・包括的基本権(13条)
- 人権の主体=国民・外国人(性質説)・法人。憲法は私人間にも間接適用(三菱樹脂事件)
- 違憲審査=二重の基準(精神的自由は厳格に/経済的自由は緩やかに)
人権の全体像(分類)
| 分類 | 内容 | 代表条文 |
|---|---|---|
| 包括的基本権 | 幸福追求権・新しい人権 | 13条 |
| 平等権 | 法の下の平等 | 14条 |
| 精神的自由 | 思想良心・信教・表現・学問 | 19〜23条 |
| 経済的自由 | 職業選択・財産権 | 22・29条 |
| 人身の自由 | 奴隷的拘束からの自由・適正手続 | 18・31条 |
| 社会権 | 生存権・教育・労働 | 25〜28条 |
| 参政権・受益権 | 選挙権・裁判を受ける権利 | 15・32条 |
人権の主体——外国人・法人・私人間
- 外国人:権利の性質上可能な限り保障されます(性質説)。ただし政治活動の自由などには一定の制約があります。
- 私人間効力:人権規定は本来「国家対個人」のものですが、私人間(会社と個人など)にも民法90条などを通じて間接的に適用されます(間接適用説)。
→ 詳しくはマクリーン事件(外国人の人権)、三菱樹脂事件(私人間効力)へ。
平等権(14条)
合理的な理由のない差別を禁じます。判例は、区別に合理性があるかで違憲かを判断します。
→ 詳しくは尊属殺重罰規定(法の下の平等)へ。
精神的自由(表現・信教)
民主政の基礎となる重要な自由で、規制は厳格に審査されます。表現の自由には報道・取材の自由も含まれます。
→ 詳しくはレペタ事件(法廷メモと表現の自由)、博多駅事件(報道・取材の自由)、猿払事件(公務員の政治活動)、政教分離と目的効果基準、学問の自由と大学の自治(23条)へ。
経済的自由(職業・財産)
精神的自由に比べ、政策的な規制が広く認められます(緩やかな審査)。
→ 詳しくは薬事法距離制限事件(職業選択の自由)、財産権と正当な補償(29条)へ。
人身の自由(適正手続)
国家権力による身柄の拘束や刑罰から個人を守る自由です。適正手続(31条)が中心で、刑事手続だけでなく行政手続にも及びうるとされています。
→ 詳しくは適正手続(31条)と成田新法事件へ。
社会権(生存権・25条)
国家に積極的な施策を求める権利です。生存権について判例は、広い立法裁量を認めています。
違憲審査の二重の基準
精神的自由の規制は厳格に、経済的自由の規制は緩やかに審査するという考え方です。精神的自由は民主政の過程で傷つくと回復しにくいため、裁判所が手厚く守る一方、経済政策は国会の判断を尊重します。判例の結論を覚えるとき、この物差しを意識すると整理できます。
学習の順番(おすすめ)
- 人権の分類と主体(自由権・社会権、外国人・私人間)
- 精神的自由(表現の自由・政教分離)
- 経済的自由・社会権(職業選択・生存権)
- 二重の基準で判例の結論を整理
○×一問一答で総点検
Q1. 基本的人権の保障は、その性質上可能な限り外国人にも及ぶ。
○: マクリーン事件の性質説です。
Q2. 憲法の人権規定は、私人間にも直接適用されるのが判例の立場である。
✕: 間接適用説です(三菱樹脂事件)。民法90条などを通じて間接的に適用されます。
Q3. 二重の基準では、経済的自由の規制の方が精神的自由の規制より厳格に審査される。
✕: 逆です。精神的自由の規制が厳格に審査されます。
Q4. 生存権について、判例は国会の広い立法裁量を認めている。
○: 朝日訴訟・堀木訴訟の流れです。
よくある質問(FAQ)
Q. 基本的人権にはどんな種類がある? A. 自由権・参政権・社会権に大別され、平等権(14条)と包括的基本権(13条)が加わります。
Q. 外国人や法人にも人権はある? A. 外国人にも性質上可能な限り保障されます(マクリーン事件)。法人も性質上可能な範囲で享有します。
Q. 二重の基準とは? A. 精神的自由の規制は厳格に、経済的自由の規制は緩やかに審査する違憲審査の考え方です。
まとめ
- 人権=自由権・参政権・社会権+平等権・包括的基本権。
- 主体=外国人(性質説)・法人にも及び、私人間には間接適用(三菱樹脂)。
- 違憲審査は二重の基準(精神的自由=厳格/経済的自由=緩やか)。
人権は、まず全体像(分類・主体・二重の基準)を押さえてから各判例を○×で回すと定着します。試験全体の地図は行政書士試験とは?科目・配点と独学の全体像へ。
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