
堀木訴訟(最大判昭57.7.7)は、朝日訴訟と並ぶ生存権(憲法25条)の重要判例です。争点は、障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止が25条などに反するか。結論は合憲。カギは「25条の具体化は立法府の広い裁量に委ねられる」という枠組みです。朝日訴訟とセットでわかりやすく整理します。
この記事の要点(3行まとめ)
- 障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止規定は25条・14条等に反するか → 最高裁は合憲
- 25条1項=国の責務の宣言/2項=社会的立法・施設の創造拡充の責務、と整理
- 25条の具体化は立法府の広い裁量。著しく合理性を欠き明らかに逸脱・濫用といえる場合を除き、裁判所は介入しない
事案——年金と手当は「二重取り」できない?
全盲の視力障害をもつ堀木さんは、障害福祉年金を受けていました。そこへ児童扶養手当も請求したところ、当時の児童扶養手当法の併給禁止規定(公的年金給付を受けられる者には児童扶養手当を支給しない)により却下されます。この併給禁止が憲法25条・14条・13条に反しないかが争われました。
判旨——25条の構造と「広い立法裁量」
最高裁は、25条1項を「国の責務の宣言」、2項を「社会的立法・施設の創造拡充の責務」と整理しました。そして、25条の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は立法府の広い裁量に委ねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえない場合を除いて、裁判所が審査判断するのに適しないとしました。
そのうえで、社会保障給付の併給調整を行うかどうかは立法府の裁量に属するとして、併給禁止規定を合憲と判断。14条・13条違反の主張も退けました。
朝日訴訟との違い
| 朝日訴訟(最大判昭42.5.24) | 堀木訴訟(最大判昭57.7.7) | |
|---|---|---|
| 争点 | 生活保護基準(月600円)は25条に反するか | 年金と児童扶養手当の併給禁止は25条等に反するか |
| 結論 | 訴訟終了(受給権は相続不可)。なお書きで判断 | 合憲 |
| 25条の理解 | 1項は国の責務宣言。具体的権利は生活保護法による | 1項=責務宣言・2項=社会的立法等の責務。広範な立法裁量 |
| 審査 | 厚生大臣の裁量。著しく低い基準等は司法審査 | 立法裁量。著しく合理性を欠き明らかに逸脱・濫用なら審査 |
朝日訴訟が行政(厚生大臣)の裁量を語ったのに対し、堀木訴訟は立法府の裁量を正面から認めた——この対比が頻出です。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ3選
- 「堀木訴訟で最高裁は併給禁止を違憲とした」→ ✕: 結論は合憲です。
- 「25条2項は個々の国民に具体的な請求権を直接与える」→ ✕: 国の責務の宣言にとどまります。
- 「25条の具体化に立法府の裁量は認められない」→ ✕: 広い立法裁量が認められます。
○×一問一答で総点検
Q1. 堀木訴訟で最高裁は、憲法25条の具体化について立法府の広い裁量を認め、年金と手当の併給禁止を合憲とした。
○: 立法裁量を正面から認め、併給禁止を合憲としました。
Q2. 堀木訴訟で最高裁は、25条1項を国の責務の宣言、2項を社会的立法・施設の創造拡充の責務と解した。
○: 1項・2項の役割をこのように整理しました。
Q3. 堀木訴訟で最高裁は、障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止を違憲と判断した。
✕: 合憲と判断しました。
まとめ
- 堀木訴訟(最大判昭57.7.7)=併給禁止は合憲。
- 25条1項=責務の宣言/2項=社会的立法・施設の責務。具体化は立法府の広い裁量。
- 朝日(行政の裁量・なお書き)と堀木(立法の裁量・合憲)の対比で押さえる。
あわせて朝日訴訟をわかりやすくや、平等の判例尊属殺重罰規定違憲判決をわかりやすくもどうぞ。社会権は朝日・堀木をワンセットで○×にすると定着します。
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