
信教の自由(20条)は、精神的自由権の中心のひとつです。信仰・宗教的行為・宗教的結社の3つの自由からなり、内心の信仰は絶対的に保障される一方、外部的な行為には限界があります。剣道受講拒否事件などの判例で整理します。
この記事の要点
- 信教の自由=信仰の自由・宗教的行為の自由・宗教的結社の自由(20条1項前段・2項)
- 内心の信仰は絶対的保障/外部的な宗教的行為は制約を受けうる
- 剣道受講拒否事件(神戸高専・平8)=代替措置を検討せず退学とした処分は裁量権の逸脱・濫用で違法
- 加持祈祷事件(昭38)=他人の生命・身体に危害を及ぼす行為は処罰される(信教の自由の限界)
信教の自由の3つの内容
- 信仰の自由:特定の宗教を信じ、または信じない自由。内心にとどまる限り絶対的に保障されます。
- 宗教的行為の自由:礼拝・儀式・布教などを行う(または行わない)自由。
- 宗教的結社の自由:宗教団体を結成し、加入する(またはしない)自由。
内心の信仰は絶対的に保障されますが、外部に現れる宗教的行為は、他者の権利や公共の安全との関係で制約を受けることがあります。
剣道受講拒否事件(神戸高専事件・最判平8.3.8)
エホバの証人である学生が、信仰上の理由から体育の剣道の実技を拒否したところ、原級留置・退学処分を受けた事案です。最高裁は、代替措置(レポート提出など)を検討することも可能であったのに、これを検討せずに行った退学処分は、校長の裁量権の逸脱・濫用にあたり違法としました。信教の自由への配慮が求められた重要判例です。
信教の自由の限界(加持祈祷事件・最大判昭38.5.15)
宗教的行為であっても、他人の生命・身体に危害を及ぼす行為は許されません。加持祈祷の際に人を死亡させた行為について、最高裁は傷害致死罪の成立を認め、信教の自由の保障の限界を示しました。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「宗教的行為であれば、他人の生命・身体に危害を加えても処罰されない」→ ✕: 加持祈祷事件で傷害致死罪が認められました。
- 「剣道受講拒否事件では、退学処分は校長の裁量であり適法とされた」→ ✕: 代替措置を検討しない処分は違法とされました。
- 「内心の信仰の自由も、公共の福祉により制約されうる」→ ✕: 内心にとどまる限り絶対的に保障されます。
- 「信教の自由と政教分離は同じ内容の保障である」→ ✕: 信教の自由(個人の自由)と政教分離(国家と宗教の分離)は別の論点です。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
内心における信仰の自由は、絶対的に保障される。
宗教的行為であれば、他人の生命・身体に危害を及ぼしても刑罰を科されない。
信仰上の理由による剣道実技の拒否に対し、代替措置を検討せずにした退学処分は、裁量権の逸脱・濫用として違法となりうる。
信教の自由と政教分離原則は、同一の内容を保障するものである。
よくある質問(FAQ)
Q. 信教の自由には何が含まれる?
A. 信仰の自由・宗教的行為の自由・宗教的結社の自由の3つです。内心の信仰は絶対的保障、外部的な宗教的行為は制約を受けることがあります。
Q. 剣道受講拒否事件の判断は?
A. 代替措置を検討せずにした退学処分は、校長の裁量権の逸脱・濫用で違法としました(神戸高専事件・平8.3.8)。
Q. 宗教的行為なら何をしても許される?
A. 許されません。加持祈祷事件では、他人の生命・身体に危害を及ぼす行為は処罰されるとされました。
まとめ
- 信教の自由=信仰・宗教的行為・宗教的結社の自由(20条)。
- 内心の信仰は絶対/宗教的行為は限界あり。
- 剣道受講拒否事件=代替措置を検討しない退学は違法(裁量権の逸脱・濫用)。
- 加持祈祷事件=他人に危害を及ぼす行為は処罰(信教の自由の限界)。
基本的人権の全体像は基本的人権とは?憲法の人権の全体像で俯瞰できます。あわせて政教分離と目的効果基準や学問の自由と大学の自治(23条)もどうぞ。
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