
行政法は「いつまでに申し立てるか」の期間が制度ごとに違い、独学だと混同したまま本番を迎えがちです。しかも落とし穴があります。行政不服審査法は「知った日の翌日から起算」、行政事件訴訟法は「知った日から」と、起算点の書き方が違うのです。この記事で、審査請求・再調査の請求・再審査請求・取消訴訟の期間を1枚の表にまとめ、覚え方まで固めます。
この記事の要点
- 不服申立て(審査請求・再調査の請求)=3か月/訴訟(取消訴訟)=6か月
- 再審査請求だけ1か月(原裁決を知った日の翌日から起算)
- 客観的な期間はすべて1年(処分の日・原裁決の日から)
- 行審法は「翌日から起算」、行訴法は「知った日から」。いずれも正当な理由があれば例外
一覧表:主観的起算点と客観的起算点
期間には2種類あります。主観的起算点(知った日を基準)と客観的起算点(処分の日を基準)です。どちらか早く到来した方で締め切られます。
| 制度 | 主観(知った日基準) | 客観(処分の日基準) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 審査請求 | 処分を知った日の翌日から起算して3か月 | 処分の日の翌日から起算して1年 | 行審法18条 |
| 再調査の請求 | 処分を知った日の翌日から起算して3か月 | 処分の日の翌日から起算して1年 | 行審法54条 |
| 再審査請求 | 原裁決を知った日の翌日から起算して1か月 | 原裁決の日の翌日から起算して1年 | 行審法62条 |
| 取消訴訟 | 処分・裁決を知った日から6か月 | 処分・裁決の日から1年 | 行訴法14条 |
いずれも、正当な理由があるときは、期間を過ぎても申立て・提訴ができます(行審法18条ただし書、行訴法14条ただし書)。
覚え方:3つのルールに圧縮する
数字を1つずつ暗記するのではなく、ルール化すると忘れません。
- 不服申立ては3か月、訴訟は6か月(役所に文句を言うのは早め、裁判は少し長め)
- 例外は再審査請求の1か月だけ(すでに一度裁決が出ているので短い)
- 客観的な期間は、全部1年
これで4制度8個の数字が、実質「3・6・1・1年」の4つに減ります。
ソクのひとこと
独学でつまずく点:「翌日から起算」の有無
同じ「知った日」でも、条文の書き方が違います。ここは指摘されないと気づきにくい部分です。
- 行政不服審査法:処分があったことを「知った日の翌日から起算して」3か月
- 行政事件訴訟法:処分があったことを「知った日から」6か月
試験で「審査請求は処分を知った日から3か月」と書かれていたら、厳密には誤り(正しくは「知った日の翌日から起算して」)です。細かい肢の正誤で差がつく部分なので、条文の言い回しごと押さえておきましょう。
混同注意:標準処理期間は「別物」
期間つながりでよく混同されるのが、行政手続法の標準処理期間(6条)です。これは申立ての期限ではなく、行政庁が申請を処理するのにかかる標準的な期間のことです。
- 標準処理期間を定めること=努力義務
- 定めた場合に公にしておくこと=義務
「定めるのは義務」と書かれていたら誤りです。詳しくは標準処理期間とはで解説しています。
本試験での問われ方(ここで差がつく)
期間は、数字の入れ替えと起算点のすり替えで問われます。次のパターンは頻出です。
- 「審査請求は処分を知った日の翌日から起算して6か月以内」→ ✕: 3か月です。6か月は取消訴訟。
- 「再審査請求は原裁決を知った日の翌日から起算して3か月以内」→ ✕: 1か月です。
- 「処分の日から1年を過ぎると、正当な理由があっても審査請求できない」→ ✕: 正当な理由があればできます(18条2項ただし書)。
- 「標準処理期間を定めることは行政庁の義務である」→ ✕: 定めるのは努力義務、公表は義務です。
○×一問一答で総点検
○か✕を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときは、原則としてすることができない。
取消訴訟は、処分があったことを知った日から3か月を経過すると提起できない。
再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1か月を経過したときは、原則としてすることができない。
処分があった日から1年を経過した場合、正当な理由があっても審査請求をすることはできない。
行政庁は、申請に対する処分について標準処理期間を定めなければならない。
まとめ
- 審査請求・再調査の請求=3か月/取消訴訟=6か月/再審査請求=1か月、客観はすべて1年。
- 行審法は「翌日から起算」、行訴法は「知った日から」。いずれも正当な理由で例外あり。
- 標準処理期間は申立期限ではなく、定めるのは努力義務・公表は義務。
各制度の中身は、審査請求と取消訴訟の違い、取消訴訟の訴訟要件、審査請求の裁決と教示、審理員と行政不服審査会、執行停止の要件で詳しく解説しています。行政法の全体像は行政法とは?全体像で俯瞰できます。
期間の数字は、表を眺めるより○×で問われる形で反復するほうが定着します。ソクトケは無料で人権・行政手続法・民法総則から始められ、行政不服審査法・行政事件訴訟法を含む全科目はプレミアムで○×演習できます。無料で始める


