
レペタ事件(最大判平元.3.8)は、裁判の傍聴人が法廷でメモを取れるかが争われた、表現の自由の最重要判例です。ポイントは「憲法21条の保障がどこまで及ぶか」を段階で捉えること。知る権利・取材・筆記・メモの位置づけを整理します。
この記事の要点(3行まとめ)
- 情報を摂取する自由(知る権利)は21条1項の派生原理として保障される
- 取材の自由=「21条の精神に照らし十分尊重に値する」/筆記・メモ=「精神に照らし尊重」だが権利として保障されてはいない
- メモは特段の事情がない限り傍聴人の自由に任せるべき=故なく妨げてはならない
事案
アメリカの法律家レペタ氏は、裁判の傍聴中にメモを取ることを許されませんでした。そこで国家賠償を求めて争いました。最高裁は、法廷でのメモは権利としては保障されないとしつつ、原則として傍聴人の自由に任せるべきだと述べました。
カギは「保障の段階」で捉えること
21条の保障は、対象によって「直接の保障」と「尊重に値する」に分かれます。
| 自由 | 憲法21条との関係 |
|---|---|
| 情報を摂取する自由(知る権利) | 保障(21条1項の派生原理) |
| 取材の自由 | 21条の精神に照らし十分尊重に値する |
| 筆記行為の自由 | 21条の精神に照らし尊重(直接保障される表現の自由そのものではない) |
| 法廷でのメモ | 権利としては保障されないが、尊重に値し、故なく妨げられない |
筆記行為は「直接保障される表現の自由そのものとは異なる」ため、その制限に表現の自由と同じ厳格な基準は必要ない、とされた点も重要です。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「取材の自由は21条1項で直接保障される」→ ✕: 「21条の精神に照らし十分尊重に値する」にとどまります。
- 「法廷でメモを取ることは権利として保障される」→ ✕: 権利としては保障されません(が尊重に値する)。
- 「筆記の自由の制限には表現の自由と同じ厳格な基準が必要」→ ✕: 直接保障の表現の自由そのものとは異なります。
- 「司法記者クラブの記者だけにメモを許すのは14条違反」→ ✕: 合理的な区別で、平等には反しません。
○×一問一答で総点検
Q1. 各人が情報を摂取する自由は、憲法21条1項の趣旨・目的から、その派生原理として導かれる。
○: 知る権利を21条の派生原理と位置づけた判旨です。
Q2. 傍聴人が法廷でメモを取る行為は、権利として保障されている。
✕: 権利としては保障されません(ただし尊重に値する)。
Q3. 報道機関の記者にのみ法廷でのメモ採取を許可しても、法の下の平等には反しない。
○: 報道の公共性に基づく合理的区別とされました。
Q4. 取材の自由は、憲法21条1項によって直接保障されている。
✕: 「21条の精神に照らし十分尊重に値する」にとどまります。
まとめ
- 知る権利(情報摂取の自由)=21条1項の派生原理として保障。
- 取材・筆記=「尊重に値する」(直接保障ではない)。
- 法廷でのメモは権利ではないが、尊重に値し故なく妨げられない。
- 記者クラブ所属記者へのメモ許可=合理的区別で14条違反ではない。
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