
行政手続法の適用除外は、「分野で丸ごと外す3条1項」と「地方公共団体を切り分ける3条3項」の2階建てになっています。独学でいちばん落とすのは後者です。地方公共団体だからといって一律に除外されるわけではなく、処分と届出は「根拠が条例・規則にあるものだけ」が外れます。この記事で除外される場面を1枚の表にまとめ、行政不服審査法との違いまで固めます。
この記事の要点
- 地方公共団体の処分・届出=条例・規則が根拠のものだけ除外。法律が根拠なら適用される
- 地方公共団体の行政指導・命令等を定める行為=根拠を問わず全部除外(3条3項)
- 除外されるのは第2章から第6章まで。46条の努力義務は残る
- 行政不服審査法には、この種の適用除外がない
一覧表①:地方公共団体はどこまで除外されるか(3条3項)
ここが最頻出です。行為の種類と根拠がどこにあるかのかけ算で決まります。
| 地方公共団体の機関の行為 | 根拠が法律 | 根拠が条例・規則 |
|---|---|---|
| 処分 | 適用される | 適用除外 |
| 届出(機関に対するもの) | 適用される | 適用除外 |
| 行政指導 | 適用除外 | 適用除外 |
| 命令等を定める行為 | 適用除外 | 適用除外 |
処分と届出だけが「根拠で分かれる」、行政指導と命令等制定は根拠を問わず全部外れる。この非対称が出題ポイントです。
たとえば宅地建物取引業法という国の法律に基づいて知事が免許を取り消す場合、行為主体は地方公共団体の機関ですが、行政手続法は適用されます。
一覧表②:分野で丸ごと除外されるもの(3条1項)
こちらは「誰がするか・何についてか」で丸ごと外れる類型です。主なものを挙げます。
| 除外される処分・行政指導 | 補足 |
|---|---|
| 国会の両院・議院・国会議員の議決によってされる処分 | |
| 裁判所・裁判官の裁判によってされる処分 | |
| 刑事事件に関する法令に基づき検察官・検察事務官・司法警察職員がする処分 | 3条1項5号 |
| 学校・講習所等で、教育・訓練の目的を達成するため学生等にされる処分 | |
| 刑務所・少年院等の被収容者にされる処分 | |
| 公務員に対し、その職務または身分に関してされる処分 | |
| 外国人の出入国・難民の認定・帰化に関する処分 | |
| 専ら人の学識技能に関する試験・検定の結果についての処分 | 合否判定そのもの |
| 相反する利害を有する者の間の利害調整を目的とする裁定等 | |
| 不服申立てに対する裁決・決定 | 争訟手続は別ルール |
| 公益に関わる事象が発生した現場で警察官等によりされる処分 | |
| 報告・物件提出を命ずる処分など、情報収集を直接の目的とする処分 |
このほか、国の機関・地方公共団体などが「固有の資格」において相手方となる処分も適用除外です(4条1項)。一般の私人と同じ立場で受ける処分は除外されません。
覚え方:3つのルールに圧縮する
- 地方公共団体は「処分・届出は根拠で分かれる/行政指導・命令等は問答無用で除外」。行政指導は法律の根拠がなくてもできるので、根拠で切り分けようがない、と理由から押さえます。
- 除外されるのは第2章から第6章まで。目的規定(1条)や46条の努力義務は生きています。「除外=無法地帯」ではありません。
- 3条1項は「争訟」「刑事」「特別な身分関係」「試験の合否」でくくると思い出せます。
ソクのひとこと
独学でつまずく点:「契機とする」だけでは除外されない
3条1項5号は、検察官らがする処分そのものを除外する規定です。刑事事件をきっかけに行政庁が別途行う不利益処分は、5号には当たりません。
たとえば、刑事事件の捜査を契機として知事が宅建業の免許を取り消す場合、取消処分は知事がする不利益処分であって検察官らがする処分ではないため、行政手続法が適用されます。「刑事事件がらみだから除外」と読むと落とします。
混同注意:行政不服審査法には同じ除外がない
行政手続法3条3項のような「条例・規則に基づく処分を外す」規定は、行政不服審査法にはありません。
- 行政手続法:条例に基づく処分 → 適用除外(手続のルールは各自治体の行政手続条例へ)
- 行政不服審査法:条例に基づく処分 → 適用される(審査請求ができる)
同じ「地方公共団体が条例に基づいてした処分」でも、手続法では外れるのに、不服審査法では外れない。ここは並べて問われます。制度の中身は審査請求と取消訴訟の違いで解説しています。
本試験での問われ方(ここで差がつく)
適用除外は、主体のすり替えと根拠のすり替えで問われます。
- 「地方公共団体の機関がする処分は、根拠が法律に置かれていても、行政手続法は適用されない」→ ✕: 法律が根拠なら適用されます。除外されるのは条例・規則が根拠のものです。
- 「地方公共団体の機関がする行政指導のうち、根拠が国の法律に置かれているものには行政手続法が適用される」→ ✕: 行政指導は根拠を問わず全部除外です。
- 「地方公共団体は、適用除外とされた手続について、行政手続法の趣旨にのっとり必要な措置を講ずる法的義務を負う」→ ✕: 46条は努力義務です。
- 「地方公共団体の機関が条例に基づいてした処分については、行政不服審査法の規定も適用されない」→ ✕: 行政不服審査法にその種の除外規定はありません。
- 「刑事事件に関する法令に基づく捜査を契機としてされた不利益処分は、行政手続法の適用が除外される」→ ✕: 除外されるのは検察官らがする処分そのものです。
○×一問一答で総点検
○か✕を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
地方公共団体の機関がする処分については、その根拠が国の法律に置かれている場合であっても、行政手続法は適用されない。
地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠が国の法律に置かれているものであっても、行政手続法の行政指導に関する規定は適用されない。
適用除外とされた手続について、地方公共団体は行政手続法の趣旨にのっとった措置を講ずる法的義務を負う。
地方公共団体の機関が条例に基づいてした処分については、行政不服審査法による審査請求をすることができない。
専ら人の学識技能に関する試験または検定の結果についての処分には、行政手続法は適用されない。
まとめ
- 地方公共団体は、処分・届出は「条例・規則が根拠のものだけ」除外。法律が根拠なら適用される。
- 行政指導・命令等を定める行為は、根拠を問わず全部除外(3条3項)。
- 除外されても46条の努力義務は残る。行政不服審査法には同じ除外がない。
各制度の中身は、申請に対する処分と不利益処分の違い、聴聞と弁明の機会の付与の違い、標準処理期間と審査基準、意見公募手続(パブコメ)、行政指導の任意性で詳しく解説しています。行政法の全体像は行政法とは?全体像で俯瞰できます。
適用除外は、表を眺めるより○×で問われる形で反復するほうが定着します。ソクトケは無料で人権・行政手続法・民法総則から始められます。無料で始める


