
審査請求は、最後に裁決で終わります。裁決には却下・棄却・認容の3類型に加え、独特の事情裁決があります。あわせて、不服申立てを案内する教示制度まで、行政不服審査法の各論を整理します。
この記事の要点
- 裁決=却下(不適法)/棄却(理由なし)/認容(理由あり・取消や変更)
- 事情裁決(45条3項)=違法・不当だが取消しが公の利益に著しい障害→違法・不当を宣言しつつ棄却
- 不利益変更の禁止(48条)=審査庁は請求人に不利益な変更をできない
- 教示制度(82条)=不服申立てできる処分は、書面で教示する義務。教示しないと処分庁へ不服申立書を出せる(83条)
裁決の種類
| 裁決 | 要件 | 内容 |
|---|---|---|
| 却下裁決 | 審査請求が不適法(要件を欠く) | 中身を審理せず退ける |
| 棄却裁決 | 審査請求に理由がない | 処分を維持する |
| 認容裁決 | 審査請求に理由がある | 処分の全部・一部の取消しや変更など |
| 事情裁決(45条3項) | 処分は違法・不当だが、取り消すと公の利益に著しい障害 | 違法・不当を宣言しつつ棄却 |
認容裁決による処分の変更では、審査庁は審査請求人に不利益となる変更をすることはできません(不利益変更の禁止・48条)。
事情裁決(45条3項)
処分が違法または不当であっても、これを取り消し・撤廃することが公の共同の利益に著しい障害を生ずる場合には、審査庁は、裁決の主文で処分が違法または不当であることを宣言したうえで、審査請求を棄却できます。行政事件訴訟法の事情判決(31条)に対応する仕組みです。
教示制度(82条・83条)
行政庁は、不服申立てをすることができる処分を書面でする場合、処分の相手方に対し、書面で次の事項を教示しなければなりません(82条1項)。
- 不服申立てをすることができる旨
- 不服申立てをすべき行政庁
- 不服申立てをすることができる期間
教示をしなかった場合、処分に不服がある者は、処分庁に不服申立書を提出することができます(83条)。誤った教示をした場合の救済規定も設けられています。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「事情裁決は、審査請求を認容する裁決の一種である」→ ✕: 事情裁決は棄却です(違法・不当は宣言)。
- 「審査庁は、審査請求人に不利益な変更をすることができる」→ ✕: 不利益変更は禁止されます(48条)。
- 「行政庁は、不服申立てができる処分について教示する義務を負わない」→ ✕: 書面で教示する義務があります(82条)。
- 「教示がされなかった場合、相手方は不服を申し立てる方法がない」→ ✕: 処分庁に不服申立書を提出できます(83条)。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
事情裁決は、審査請求に理由があるとして処分を取り消す認容裁決の一種である。
審査庁は、審査請求人にとって不利益となるように処分を変更することはできない。
行政庁は、不服申立てをすることができる処分を書面でする場合、その相手方に書面で教示しなければならない。
行政庁が教示をしなかった場合、処分に不服がある者は処分庁に不服申立書を提出できる。
よくある質問(FAQ)
Q. 裁決にはどんな種類がある?
A. 却下(不適法)・棄却(理由なし)・認容(理由あり)の3類型に加え、事情裁決(違法・不当だが公益上棄却・45条3項)があります。
Q. 審査庁は請求人に不利益な変更をできる?
A. できません。不利益変更の禁止です(48条)。
Q. 教示をしなかった場合は?
A. 処分の相手方は、処分庁に不服申立書を提出できます(83条)。
まとめ
- 裁決=却下・棄却・認容+事情裁決(45条3項・違法宣言つき棄却)。
- 不利益変更の禁止(48条)。
- 教示制度(82条)=書面での教示義務。教示しないと処分庁へ不服申立書(83条)。
行政法の全体像は行政法とは?全体像(作用・手続・救済)で俯瞰できます。あわせて審理員とは?行政不服審査をわかりやすくや審査請求と取消訴訟の違いもどうぞ。
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