
株式と株主の権利は、会社法で頻出の論点です。受験生が落としやすいのは、①「株式は会社の承認がないと譲渡できない」と原則・例外を逆にする、②剰余金配当を共益権と取り違える、の2点。株式譲渡自由の原則(と例外)、自益権・共益権、単独株主権と少数株主権、株主平等原則まで、図と○×で得点にします。
この記事の要点
- 株式譲渡自由の原則(127条)。定款で譲渡制限を付せる(全株式に制限=非公開会社)
- 株主の権利=自益権(剰余金配当・残余財産分配)と共益権(議決権など経営参加)
- 持株数の面から単独株主権(1株でOK)と少数株主権(一定割合が必要)にも分かれる
- 株主平等原則(109条)=株式の内容・数に応じて平等/一株一議決権が原則
株主の権利:自益権と共益権
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 自益権 | 会社から経済的利益を受ける権利 | 剰余金配当請求権・残余財産分配請求権 |
| 共益権 | 会社の経営に参加する権利 | 議決権・株主総会の招集請求権・代表訴訟提起権 |
単独株主権と少数株主権
株主の権利は、行使に必要な持株数の面から、単独株主権(1株でも行使できる)と少数株主権(一定の議決権割合・株式数が必要)にも分けられます。
- 単独株主権:議決権、剰余金配当請求権、株主総会決議取消しの訴え、株主代表訴訟提起権(責任追及の訴え)など。
- 少数株主権:会社の運営を監督・是正する権利で、一定の要件を満たす株主だけが行使できます。
代表的な少数株主権は次のとおりです(公開会社では6か月前からの継続保有が要件となるものがあります)。
| 少数株主権 | 主な持株要件 |
|---|---|
| 株主総会の招集請求権 | 総株主の議決権の3%以上 |
| 会計帳簿の閲覧・謄写請求権 | 議決権または発行済株式の3%以上 |
| 役員の解任の訴え | 議決権または発行済株式の3%以上 |
| 会社の解散の訴え | 議決権または発行済株式の10%以上 |
ソクのひとこと
株式譲渡自由の原則と例外
- 譲渡自由の原則(127条):株主は、原則として自由に株式を譲渡できます。株主は原則として出資の払戻しを受けられないため、投下資本を回収する手段として譲渡の自由が保障されます。
- 定款による譲渡制限:定款で、株式の譲渡に会社の承認を要する旨を定められます(譲渡制限株式)。すべての株式に譲渡制限がある会社が非公開会社、一部でも制限のない株式があれば公開会社です。
譲渡自由には、次のような法律上の例外もあります。
| 例外 | 内容 |
|---|---|
| 権利株の譲渡 | 会社成立前・新株の効力発生前の地位の譲渡は、会社に対抗できない |
| 株券発行前の譲渡 | 株券発行会社で株券発行前にした譲渡は、会社に対抗できない |
| 子会社による親会社株式の取得 | 原則禁止 |
| 自己株式の取得 | 取得できる場合・手続が規制される |
株主平等原則と一株一議決権
- 株主平等原則(109条1項):株式会社は、株主をその有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱わなければなりません。
- 一株一議決権の原則:原則として、1株につき1個の議決権があります(単元株などの例外あり)。
- 例外:内容の異なる種類株式(議決権制限株式・優先株式など)を発行できます。また、非公開会社では、剰余金配当・残余財産分配・議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定められます(属人的定め・109条2項)。
ソクのひとこと
本試験での問われ方(ここで差がつく)
株式・株主は、原則と例外の入れ替え(譲渡自由↔制限)と、権利の分類(自益/共益・単独/少数)をずらして問うのが定番です。次のパターンを「なぜ✕か」まで押さえましょう。
- 「株式は、原則として会社の承認を得なければ譲渡できない」→ ✕: 譲渡自由が原則です(127条)。制限は定款による例外です。
- 「剰余金の配当を受ける権利は、共益権である」→ ✕: 自益権です。共益権は議決権など経営参加の権利です。
- 「株主平等原則とは、すべての株主を頭数で平等に扱うことである」→ ✕: 株式の内容と数に応じて平等に扱う原則です(109条)。
- 「株主代表訴訟の提起には、一定割合以上の株式が必要である」→ ✕: 代表訴訟提起権は単独株主権で、1株でも行使できます(公開会社は6か月前からの継続保有が必要)。
- 「議決権は、原則として1株につき1個である」→ ○: 一株一議決権の原則です。
○×一問一答で総点検
○か✕を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
株式は、原則として自由に譲渡することができる。
剰余金の配当を受ける権利は、自益権である。
株主代表訴訟を提起するには、総株主の議決権の3%以上を有している必要がある。
子会社は、原則として親会社の株式を取得することができない。
すべての株式に譲渡制限を付している株式会社を、公開会社という。
よくある質問(FAQ)
Q. 自益権と共益権の違いは?
A. 自益権は剰余金配当・残余財産分配など経済的利益を受ける権利、共益権は議決権など経営に参加する権利です。
Q. 単独株主権と少数株主権の違いは?
A. 単独株主権は1株でも行使できる権利(議決権・代表訴訟提起権など)、少数株主権は一定の議決権割合・株式数(3%や10%など)を満たす株主だけが行使できる権利(総会招集請求・会計帳簿閲覧・解散の訴えなど)です。
Q. 株式は自由に譲渡できる?
A. 譲渡自由が原則です(127条)。定款で譲渡制限を付けられ、全株式に制限がある会社が非公開会社です。権利株や株券発行前の譲渡など、法律上の例外もあります。
まとめ
- 株式譲渡自由の原則(127条)。定款で譲渡制限(全株式制限=非公開会社)+法律上の例外(権利株・株券発行前など)。
- 株主の権利=自益権(配当等)/共益権(議決権等)。持株数で単独株主権/少数株主権にも分かれる(代表訴訟は単独)。
- 株主平等原則(109条)=株式の内容・数に応じて平等。一株一議決権が原則(種類株式・属人的定めの例外あり)。
株式は「譲渡自由が原則」「自益権/共益権・単独/少数」「平等は持株数に応じて」を○×で固めると安定します。商法の全体像は商法とは?会社法の全体像で俯瞰できます。あわせて株式会社の機関、取締役の義務と責任、株主総会の決議要件もどうぞ。
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