
株主総会の決議は「種類」で覚える
株主総会では、役員を選んだり、定款を変えたり、会社の重要事項を決めます。ただし、すべての決議が同じ賛成数で通るわけではありません。決議事項の重さに応じて、必要な賛成数(決議要件)が変わります。
行政書士試験では、この「決議の種類と要件」が繰り返し問われます。まずは普通決議・特別決議・特殊決議の3つを、定足数と議決権数で区別できるようにしましょう。
この記事の要点(30秒)
- 決議は重い順に普通決議 → 特別決議 → 特殊決議の3種類。
- 区別のカギは「定足数(どれだけ出席が必要か)」と「可決に必要な議決権数」。
- 特別決議は「出席株主の議決権の3分の2以上」。ここが最頻出です。
決議の3種類と要件(比較表)
会社法309条が決議の要件を定めています。まず全体像を表で押さえましょう。
| 決議の種類 | 定足数(出席要件) | 可決要件 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 普通決議 | 議決権の過半数を持つ株主の出席(定款で排除・軽減できる) | 出席株主の議決権の過半数 | 309条1項 |
| 特別決議 | 議決権の過半数(定款で3分の1まで緩和できる) | 出席株主の議決権の3分の2以上 | 309条2項 |
| 特殊決議 | ― | さらに厳格(下記参照) | 309条3項・4項 |
ポイントは、普通決議の定足数は定款で「排除」までできるのに対し、特別決議の定足数は「3分の1まで緩める」ことしかできない(排除は不可)という差です。
普通決議(309条1項)
もっとも一般的な決議です。定足数は「議決権の過半数を持つ株主の出席」ですが、定款で排除・軽減できるため、多くの会社では定款で定足数を外しています。
普通決議で決めること
- 取締役・監査役・会計参与の選任(329条)
- 取締役の解任(339条・341条)
- 計算書類の承認
- 剰余金の配当(原則。454条)
- 役員の報酬の決定(361条 等)
ここが落とし穴
普通決議の定足数は定款で排除できますが、役員(取締役・監査役等)を選任・解任する決議の定足数は、議決権の3分の1未満に引き下げられません(341条)。「定款で自由に外せる」と丸暗記すると足をすくわれます。
特別決議(309条2項)
会社の基礎に関わる重要事項に必要な、重い決議です。可決には出席株主の議決権の3分の2以上が必要です(定款でこれを上回る割合を定めることも可能)。
特別決議で決めること(代表例)
- 定款の変更(466条)
- 事業の譲渡(467条)
- 募集株式の有利発行(199条〜)
- 資本金の額の減少(原則。447条)
- 合併・会社分割・株式交換などの組織再編
- 解散(471条)
- 監査役の解任(339条・343条4項)
取締役の解任は普通決議、監査役の解任は特別決議
もっとも問われるひっかけがこれです。取締役の解任は原則「普通決議」ですが、監査役の解任は「特別決議」が必要です(343条4項)。監査役は取締役を監査する立場なので、簡単に解任できないよう、地位が強く守られているのです。
| 対象 | 選任 | 解任 |
|---|---|---|
| 取締役 | 普通決議 | 普通決議 |
| 監査役 | 普通決議 | 特別決議 |
特殊決議(309条3項・4項)
特別決議よりさらに厳格な、例外的な決議です。「頭数(株主の人数)」の要件が加わるのが特徴です。
- 309条3項:議決権を行使できる株主の半数以上、かつ、その株主の議決権の3分の2以上。全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更などが対象です。
- 309条4項:非公開会社で、剰余金の配当や議決権について株主ごとに異なる取扱いを定款で定める場合。総株主の半数以上、かつ、総株主の議決権の4分の3以上が必要です。
特殊決議は出題頻度こそ高くありませんが、「株主の頭数まで数える」点が普通・特別決議との決定的な違いです。
ひっかけ4選
- 「特別決議は出席株主の過半数で成立」→ ✕。 正しくは3分の2以上です。過半数は普通決議。
- 「取締役も監査役も、解任は特別決議」→ ✕。 取締役の解任は原則普通決議、特別決議は監査役の解任です。
- 「普通決議の定足数はどんな決議でも定款で完全排除できる」→ ✕。 役員の選任・解任は3分の1未満にできません(341条)。
- 「特別決議の定足数は定款で排除できる」→ ✕。 緩和は3分の1まで。排除できるのは普通決議です。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
株主総会の特別決議は、出席した株主の議決権の過半数で成立する。
取締役の解任は、原則として普通決議で行う。
監査役を解任するには、株主総会の特別決議が必要である。
普通決議の定足数は定款で排除できるので、取締役を選任する決議の定足数も自由に排除できる。
よくある質問(FAQ)
Q. 普通決議と特別決議は何が違う?
A. 可決に必要な賛成数が違います。普通決議は出席株主の議決権の過半数、特別決議は3分の2以上です。特別決議は定款変更や組織再編など、会社の基礎に関わる重要事項に必要です。
Q. 取締役と監査役で、解任の決議が違うのはなぜ?
A. 監査役は取締役を監査する立場だからです。取締役の意向で簡単に解任できると監査が機能しないため、監査役の解任は特別決議で守られています。
Q. 特殊決議はどんなときに使う?
A. 全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更(309条3項)や、非公開会社で株主ごとに異なる取扱いを定める場合(309条4項)などです。株主の頭数まで数える点が特徴です。
まとめ
- 決議は重い順に普通決議(過半数)→ 特別決議(3分の2以上)→ 特殊決議(頭数+加重)。
- 取締役の解任は普通決議、監査役の解任は特別決議。ここが最頻出のひっかけ。
- 普通決議の定足数は定款で排除できるが、役員の選任・解任は3分の1未満にできない(341条)。
決議は「種類ごとの可決要件」と「役員の選任・解任の決議の違い」を○×で固めると失点しません。機関全体の地図は株式会社の機関をわかりやすく、株主の権利は株式と株主の権利へ。役員側の論点は取締役の義務と責任、商法の全体像は商法とは?会社法の全体像で俯瞰できます。
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