
行政手続法は、大きく「申請に対する処分」と「不利益処分」の2本柱でできています。試験では「どちらの規律が適用されるか」「審査基準と処分基準のどちらが義務か」が繰り返し問われる頻出論点。この記事で、両者の違いを判断フローと比較表で整理しましょう。
この記事の要点(3行まとめ)
- 「申請して求めた許認可」の話=申請に対する処分(第2章)/「持っている許認可を奪う・義務を課す」話=不利益処分(第3章)
- 申請拒否は不利益処分ではない(2条4号ロ)。聴聞・弁明は不要
- 審査基準(5条)は設定も公示も義務/処分基準(12条)はどちらも努力義務(規律の強さが逆=最頻出ひっかけ)
まず「どちらの処分か」を仕分ける
「申請が出発点か、行政庁の一方的な処分か」で章が分かれる、と押さえます。
申請に対する処分のキモ(5条・6条・8条)
- 審査基準(5条) — 定めるのも、公にしておくのも義務。できる限り具体的に定めます
- 標準処理期間(6条) — 定めるのは努力義務、ただし定めたら公示は義務
- 申請拒否の理由提示(8条) — 拒否処分と同時に理由を示すのが義務
不利益処分のキモ(12条・13条・14条)
- 処分基準(12条) — 定めるのも公にするのも努力義務(審査基準より緩い)
- 意見陳述(13条) — 重い処分=聴聞/それ以外=弁明(詳しくは聴聞と弁明の機会の付与の違い)
- 理由提示(14条) — 処分と同時に理由提示が義務(差し迫った必要があれば事後でよい)
一目でわかる比較表
| 項目 | 申請に対する処分 | 不利益処分 |
|---|---|---|
| 章 | 第2章 | 第3章 |
| 典型例 | 許認可の付与・拒否 | 許認可の取消し・義務付け |
| 基準 | 審査基準(5条) | 処分基準(12条) |
| 基準を定める | 義務 | 努力義務 |
| 基準を公にする | 義務 | 努力義務 |
| 標準処理期間 | 努力義務(6条) | 規定なし |
| 理由提示 | 拒否時に同時提示(8条) | 同時提示(14条) |
| 意見陳述 | 不要 | 聴聞 or 弁明(13条) |
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「審査基準は努力義務、処分基準は義務」→ ✕: 逆です。審査基準が義務、処分基準が努力義務。
- 「申請を拒否する処分には弁明が必要」→ ✕: 申請拒否は不利益処分ではない(2条4号ロ)。ただし8条の理由提示は必要です。
- 「処分基準は相手方の求めがあれば開示義務」→ ✕: そのような規定はありません。処分基準は設定も公示も努力義務です。
- 「不利益処分にも標準処理期間を定める義務がある」→ ✕: 標準処理期間は申請に対する処分の規定(6条)。不利益処分には置かれていません。
○×一問一答で総点検
Q1. 申請に対する処分の審査基準は設定も公示も義務であるのに対し、不利益処分の処分基準は設定・公示とも努力義務である。
○: 規律の強さが異なります(5条/12条)。
Q2. 申請を拒否する処分は不利益処分にあたるので、弁明の機会の付与が必要である。
✕: 申請拒否は不利益処分から除外され(2条4号ロ)、聴聞・弁明は不要です。
Q3. 不利益処分の処分基準は、相手方の求めがあれば開示しなければならない。
✕: そのような規定はなく、処分基準は努力義務にとどまります(12条)。
Q4. 不利益処分の理由は処分と同時に示すのが原則だが、差し迫った必要がある場合は事後に示すことができる。
○: 14条1項ただし書・2項の例外です。
まとめ
- 申請に応える/拒否=申請に対する処分/一方的に奪う・課す=不利益処分。
- 申請拒否は不利益処分ではない(聴聞・弁明は不要。ただし8条の理由提示は必要)。
- 審査基準=義務、処分基準=努力義務(逆に注意)。
- 理由提示はどちらも「同時」が原則。
「申請に対する処分」と「不利益処分」は、行政手続法の地図そのものです。仕分けの軸をつかんだら、聴聞と弁明の機会の付与の違いや独学で合格するための勉強法5選とあわせて、○×で繰り返し定着させましょう。
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