
無効と取消しの違いは、民法の超頻出論点です。ざっくり言うと、無効は「初めから効力ゼロ」、取消しは「取り消すまでは一応有効」。誰が主張できるか・期間制限・追認、そして2020年改正(錯誤)まで、比較表と○×で整理します。
この記事の要点(3行まとめ)
- 無効=初めから効力なし。誰でも・いつでも主張できる
- 取消し=一応有効。取消権者が取り消すと遡及的に無効(121条)。追認で確定有効
- 2020年改正で、錯誤は「無効」から「取消し」に変わった(95条)
結論:「初めからゼロ」か「取り消すまで有効」か
- 無効:法律行為の効力が初めから生じないこと。
- 取消し:いったん有効に成立した行為を、取消権者が取り消すことで、初めにさかのぼって無効にすること(121条)。
つまり無効は最初から効果ゼロ、取消しは「取り消すまでは有効、取り消して初めて無効」という違いです。
比較表でひと目で整理
| 無効 | 取消し | |
|---|---|---|
| 効力 | 初めから無効 | 取り消すまで一応有効 → 取消しで遡及的に無効 |
| 主張できる人 | 誰でも | 取消権者のみ(120条) |
| 期間制限 | なし(いつでも) | 追認できる時から5年/行為時から20年(126条) |
| 追認 | 原則、効力は生じない | 追認で確定的に有効(122条) |
| 主な原因 | 公序良俗違反(90条)・意思無能力・虚偽表示(94条) | 制限行為能力・錯誤・詐欺・強迫(96条) |
無効とは(誰でも・いつでも)
無効な行為は、最初から効力がありません。だれでも無効を主張でき、期間制限もありません(時効にかからない)。
- 主な無効原因:公序良俗違反(90条)、意思無能力、相手方が悪意・有過失の心裡留保、(通謀)虚偽表示(94条)など。
- なお、無効な行為を「追認」しても原則として有効にはならず、新たな行為をしたものとみなされます。
取消しとは(取消権者・遡及効・期間制限)
取り消すことができる行為は、取消権者が取り消して初めて、はじめにさかのぼって無効になります(121条)。
- 取消権者(120条):制限行為能力者、錯誤・詐欺・強迫の表意者、その代理人・承継人など。誰でもよいわけではありません。
- 追認(122条):取消権者が追認すると、以後取り消せなくなり確定的に有効になります。追認は取消しの原因となった状況が消滅した後にする必要があります(124条。例:制限行為能力者が能力者となった後)。
- 期間制限(126条):取消権は追認できる時から5年、または行為の時から20年で時効消滅します。
- 原状回復義務(121条の2):無効・取消しで給付を受けた者は、原則として原状回復義務を負います(2020年改正で新設)。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「無効な行為は、追認すれば初めから有効になる」→ ✕: 原則、新たな行為をしたものとみなされます。
- 「取消しは、利害関係人なら誰でも主張できる」→ ✕: 取消権者に限られます(120条)。
- 「取消権は、行為の時から5年で時効消滅する」→ ✕: 追認できる時から5年/行為時から20年です(126条)。
- 「錯誤による意思表示は無効である」→ ✕: 2020年改正で取消しに変わりました(95条)。
○×一問一答で総点検
Q1. 無効な法律行為は、誰でもその無効を主張することができる。
○: 無効は誰でも・いつでも主張できます。
Q2. 取り消すことができる行為は、取消権者が追認すると、以後取り消すことができない。
○: 122条のとおり、追認で確定的に有効になります。
Q3. 取消権は、追認をすることができる時から10年間行使しないと時効消滅する。
✕: 5年です(行為時からは20年。126条)。
Q4. 詐欺による意思表示は無効である。
✕: 詐欺は取消しです(96条)。無効ではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 民法121条とは? A. 取り消された行為は「初めから無効であった」とみなす規定です(取消しの遡及効)。取消しの効果の根拠条文です。
Q. 民法90条で無効になるのは? A. 公序良俗(社会の一般的な道徳観念)に反する法律行為です。著しく不当な契約などが典型で、無効原因の代表です。
Q. 無効と取消し、結局だれが主張できる? A. 無効は誰でも主張できます。取消しは取消権者(制限行為能力者・錯誤詐欺強迫の表意者・その代理人や承継人など。120条)に限られます。
まとめ
- 無効=初めから効力なし。誰でも・いつでも主張可。
- 取消し=取消権者が取り消して遡及無効(121条)。追認で確定有効(122条)、期間制限あり(126条)。
- 2020年改正で錯誤は無効→取消し(95条)。
民法総則は、定義の暗記より**「誰が・いつまで主張できるか」を○×で回す**と定着します。あわせて制限行為能力者の同意・取消し・追認の違い、行政行為の取消しと撤回の違いもどうぞ。
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