
制限行為能力者の「同意・取消し・追認」の違いは、民法総則の超頻出論点です。カギは「保護者の同意がなければ取り消せる/追認すれば確定的に有効になる」という流れ。中でも成年被後見人には同意権がない点が最大のひっかけです。○×で整理します。
この記事の要点(3行まとめ)
- 同意=保護者の事前のOK。同意を得た行為は取り消せない(ただし成年被後見人は例外)
- 取消し=同意なくした行為を遡及的に無効に/追認=取り消せる行為を確定的に有効に(取り消せなくなる)
- 成年被後見人には同意権がない——後見人の同意を得ても、なお取り消せる(日用品の購入等を除く)
「同意→なければ取消し→追認で確定」の流れ
4類型ごとの「同意」
| 類型 | 保護者 | 同意が必要な行為 |
|---|---|---|
| 未成年者 | 法定代理人 | 原則すべて(単に利益を得る・義務を免れる行為等を除く) |
| 成年被後見人 | 成年後見人 | 同意権なし(同意を得てもなお取り消せる。日用品の購入等を除く) |
| 被保佐人 | 保佐人 | 13条1項所定の重要な財産行為(借財・保証・不動産の処分等) |
| 被補助人 | 補助人 | 審判で定めた特定の行為のみ |
ポイントは成年被後見人。判断能力を欠く常況にあるため、事前に同意を与えてもそのとおり行動できるとは限らない。だから後見人には同意権がなく、本人の行為は(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き)取り消せます。
取消しと追認
- 取消し:取り消せば、はじめから無効だったものとみなされます(遡及効)。取消権者は、制限行為能力者本人・その代理人・承継人・同意権者です(120条1項)。
- 追認:取り消せる行為を確定的に有効にする意思表示(122条)。追認すると、以後取り消せなくなります。ただし追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後でなければできません(124条)。一定の事実があれば追認とみなす法定追認もあります(125条)。
- 相手方の催告:相手方は不安定な立場に置かれるため、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを催告でき、確答がない場合の効果が定められています(20条)。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ3選
- 「成年被後見人は後見人の同意を得れば有効に契約できる」→ ✕: 後見人に同意権はなく、なお取り消せます(日用品の購入等を除く)。
- 「追認は取消しの原因が消滅する前でもできる」→ ✕: 原因消滅後でなければ追認できません(124条)。
- 「制限行為能力者は自分が取り消せる行為を単独で追認できる」→ ✕: 原則、能力者となった後など、追認できる時期・主体の制限があります。
○×一問一答で総点検
Q1. 成年被後見人が成年後見人の同意を得てした法律行為であっても、原則として取り消すことができる。
○: 成年後見人に同意権はなく、同意を得てもなお取り消せます(日用品の購入等を除く)。
Q2. 取り消すことができる行為を追認すると、以後その行為を取り消すことができなくなる。
○: 追認により確定的に有効となります(122条)。
Q3. 被保佐人が保佐人の同意を得て行った重要な財産上の行為も、後に取り消すことができる。
✕: 同意を得た行為は有効で、取り消せません。
まとめ
- 同意(事前のOK)→ なければ取消し(遡及的無効)→ 追認で確定的に有効(取り消せない)。
- 成年被後見人には同意権がない——同意を得てもなお取り消せる(日用品等を除く)。
- 追認は原因消滅・取消権を知った後(124条)。相手方には催告権(20条)。
あわせて、行政の世界の「取消し」を扱った行政行為の取消しと撤回の違いもどうぞ。「取消し=遡及的に無効」という発想は民法・行政法で共通します。
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