
不当利得と事務管理は、契約によらず法律上当然に発生する債権(法定債権)の代表例で、不法行為と並ぶ頻出テーマです。受験生が落とすのは、①不当利得の返還範囲で善意(現存利益)と悪意(利息+損害賠償)を混同する、②事務管理者に報酬請求権があると誤る、の2点。両制度を、○×で整理します。
この記事の要点
- 不当利得(703条)=法律上の原因なく利益を受け他人に損失を与えた者は返還義務。善意=現存利益/悪意(704条)=利息付+損害賠償
- 不法原因給付(708条)=不法な原因で給付した者は返還を請求できない(不法が受益者のみなら請求可)
- 事務管理(697条)=義務なく他人の事務を管理。有益費の償還請求はできるが、報酬請求権はない
不当利得(703条・704条)
一般不当利得(703条):法律上の原因がないのに、他人の財産または労務によって利益(受益)を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度(現存利益)で返還する義務を負います。これは善意の受益者の場合です。
悪意の受益者(704条):法律上の原因がないことを知っていた受益者は、受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があれば損害賠償責任も負います。
特殊な不当利得(705条・708条)
- 非債弁済(705条):債務が存在しないことを知りながら弁済した者は、返還を請求できません。
- 不法原因給付(708条):不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求できません。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存するときは、返還を請求できます。
事務管理(697条・702条)
事務管理(697条):義務がないのに他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、本人の意思・利益に最も適合する方法で管理しなければなりません(善管注意義務)。
- 管理者の義務:本人への通知(699条)、管理の継続など。急迫の危害を免れさせるための緊急事務管理は、責任が軽減されます(698条)。
- 管理者の権利:本人のために支出した有益な費用の償還を請求できます(702条)。ただし、報酬請求権は原則としてありません。
ソクのひとこと
○×一問一答で総点検
○か✕を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
善意の受益者は、法律上の原因なく受けた利益の全額を返還しなければならない。
悪意の受益者は、受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があるときは賠償責任も負う。
不法な原因のために給付をした者は、原則としてその給付したものの返還を請求することができない。
事務管理をした者は、本人に対して報酬を請求することができる。
まとめ
- 不当利得(703条)=法律上の原因なく利益・損失→返還。善意=現存利益/悪意(704条)=利息付+損害賠償。
- 不法原因給付(708条)=不法な原因で給付した者は返還請求できない(受益者のみ不法なら請求可)。
- 事務管理(697条)=義務なく他人の事務を管理。有益費償還はできるが報酬請求権はない。
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