
遺言と遺留分は、相続で頻出かつ2019年改正の論点が多い分野です。遺言の3つの方式と、相続人の最低限の取り分である遺留分(兄弟姉妹にはなし)を、図と○×で整理します。
この記事の要点
- 普通方式の遺言=自筆証書・公正証書・秘密証書の3種
- 遺留分=兄弟姉妹以外の相続人の最低限の取り分。総体的遺留分は直系尊属のみ1/3・それ以外1/2
- 2019改正=遺留分は金銭債権化(遺留分侵害額請求)/自筆証書の財産目録はパソコン可
遺言の方式(普通方式の3種)
| 方式 | 作り方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 本文を自書し日付・氏名・押印 | 手軽。財産目録はパソコン等で可(2019改正)。法務局保管制度あり |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成。証人2人以上が立会い | 方式が厳格で信頼性が高い。原本は公証役場が保管 |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にして存在のみ公証 | 利用は少ない |
自筆証書遺言は、本文は自書が必要ですが、2019年改正で添付する財産目録はパソコン作成や通帳コピーでもよいことになりました(各ページに署名押印は必要)。
遺留分——兄弟姉妹にはない
遺留分は、一定の相続人に保障される最低限の取り分です。被相続人が遺言で全財産を他人に与えても、遺留分を持つ相続人はその分を取り戻せます。
- 遺留分を持つ人:配偶者・子(その代襲者)・直系尊属。兄弟姉妹にはありません。
- 総体的遺留分の割合:直系尊属のみが相続人なら1/3、それ以外は1/2。各人の遺留分は、これに法定相続分を掛けて求めます。
遺留分侵害額請求(2019改正)
かつては遺留分を侵害する遺贈の効力を直接奪う仕組み(物権的効果)でしたが、2019年改正で金銭債権化されました。現在は、遺留分を侵害された人が、受遺者などに対して侵害額に相当する金銭の支払いを請求する(遺留分侵害額請求)ものに改められています。遺言や遺贈そのものが無効になるわけではありません。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「兄弟姉妹にも遺留分が認められる」→ ✕: 遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
- 「自筆証書遺言は、財産目録も含めて全文を自書しなければならない」→ ✕: 2019改正で財産目録はパソコン等で作成可になりました。
- 「遺留分を侵害する遺贈は当然に無効である」→ ✕: 無効ではなく、遺留分侵害額(金銭)を請求できるにとどまります。
- 「公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要である」→ ○: 公証人が作成し、証人2人以上が立ち会います。
○×一問一答で総点検
Q1. 普通方式の遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言がある。
○: 普通方式は3種類です。
Q2. 自筆証書遺言に添付する財産目録は、パソコンで作成してもよい。
○: 2019年改正によるものです(各ページに署名押印は必要)。
Q3. 兄弟姉妹にも遺留分が認められる。
✕: 遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
Q4. 遺留分を侵害する遺贈は、その限度で当然に無効となる。
✕: 無効ではなく、遺留分侵害額請求(金銭請求)の対象になるにとどまります。
よくある質問(FAQ)
Q. 遺言の方式にはどんな種類がある? A. 普通方式は自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類です。公正証書遺言は公証人が関与し証人2人以上が必要です。
Q. 兄弟姉妹にも遺留分はある? A. ありません。遺留分は配偶者・子・直系尊属に認められます。
Q. 遺留分を侵害する遺言は無効になる? A. 無効にはなりません。2019年改正で、侵害額に相当する金銭を請求する遺留分侵害額請求に改められました。
まとめ
- 遺言の普通方式=自筆証書・公正証書・秘密証書。自筆証書の財産目録はパソコン可(2019改正)。
- 遺留分は兄弟姉妹にはない。総体的遺留分は直系尊属のみ1/3・それ以外1/2。
- 遺留分侵害は金銭請求(遺留分侵害額請求)。遺言自体は無効にならない。
遺言・遺留分は「方式の違い」「兄弟姉妹に遺留分なし」「金銭債権化」を○×で固めると安定します。民法の全体像は民法とは?全体像で俯瞰できます。あわせて法定相続分と相続人の順位、相続の承認と放棄もどうぞ。
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