
司法権の独立と違憲審査権は、裁判所の論点で頻出です。裁判官は誰からも干渉されず独立して裁判し(76条3項)、裁判所は法律などが憲法に適合するかを審査します(81条)。ただし審査には限界もあります。要点を○×で整理します。
この記事の要点
- 司法権の独立=裁判官は良心に従い独立して職権を行い、憲法と法律にのみ拘束される(76条3項)
- 違憲審査権(81条)=具体的事件に付随して行う付随的審査制(抽象的審査はできない・警察予備隊事件)
- 司法権の限界=高度に政治的な国家行為は審査しない統治行為論(砂川・苫米地)
司法権の独立
裁判が公正であるために、裁判官は外部からの干渉を受けず独立して職権を行います。
- 裁判官の独立(76条3項):すべて裁判官は良心に従い独立してその職権を行い、憲法と法律にのみ拘束される。
- 身分保障:裁判官は、心身の故障・公の弾劾(弾劾裁判)・最高裁裁判官の国民審査などの場合を除いて、罷免されません。
違憲審査権(81条)と付随的審査制
裁判所は、法律・命令・規則・処分が憲法に適合するかどうかを審査する権限をもちます(81条)。最高裁判所は終審裁判所です。
- 日本は付随的審査制=具体的な事件の解決に付随して違憲審査を行う方式。事件を離れて法令の合憲性だけを抽象的に争うことはできません。
- 判例:警察予備隊違憲訴訟(最大判昭27.10.8)=抽象的審査は認められず、違憲審査は司法権の範囲内で行使される。
- なお、違憲審査権は最高裁だけでなく下級裁判所も行使できます(最高裁は終審)。
司法権の限界——統治行為論
高度に政治的な国家行為は、裁判所の審査になじまないとする考え方を統治行為論といいます。
- 砂川事件(最大判昭34.12.16):日米安保条約は高度の政治性をもち、一見極めて明白に違憲無効でない限り司法審査の対象外とした。
- 苫米地事件(最大判昭35.6.8):衆議院の解散は統治行為であり、その有効・無効の判断は司法審査の対象外とした。
- ほかに、団体内部の自律的な紛争に司法が及ばない部分社会の法理などがあります。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「裁判所は、具体的事件を離れて法律の合憲性を抽象的に審査できる」→ ✕: 付随的審査制です(警察予備隊事件)。
- 「違憲審査権は最高裁判所のみが行使できる」→ ✕: 下級裁判所も行使できます(最高裁は終審)。
- 「裁判官は、内閣の指揮監督に従って裁判を行う」→ ✕: 裁判官は独立し、憲法と法律にのみ拘束されます(76条3項)。
- 「衆議院の解散の効力について、裁判所は常に審査できる」→ ✕: 苫米地事件で統治行為論により審査が及ばないとされました。
○×一問一答で総点検
Q1. すべて裁判官は、良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される。
○: 76条3項のとおりです。
Q2. 違憲審査権は最高裁判所のみが行使でき、下級裁判所は行使できない。
✕: 下級裁判所も行使できます(最高裁は終審)。
Q3. 日本の違憲審査制は、具体的事件を離れて法令の合憲性を審査する抽象的審査制である。
✕: 付随的審査制です(警察予備隊事件)。
Q4. 衆議院の解散の効力について、裁判所が統治行為論により審査を控えた判例がある。
○: 苫米地事件(最大判昭35.6.8)です。
よくある質問(FAQ)
Q. 付随的審査制と抽象的審査制の違いは? A. 付随的審査制は具体的事件の解決に付随して違憲審査する方式(日本)。抽象的審査制は事件と関係なく法令の合憲性を審査する方式です。
Q. 違憲審査権は下級裁判所も持つ? A. 持ちます。最高裁判所は終審として最終的な判断をします。
Q. 統治行為論とは? A. 高度に政治的な国家行為は司法審査になじまないとする考え方です。砂川事件・苫米地事件で採用されました。
まとめ
- 司法権の独立=裁判官は独立・憲法と法律にのみ拘束(76条3項)+身分保障。
- 違憲審査権(81条)=付随的審査制(警察予備隊事件)。下級裁も行使可。
- 司法権の限界=統治行為論(砂川・苫米地)・部分社会の法理。
統治機構は国会・内閣・裁判所の関係を○×で押さえると整理できます。あわせて衆議院の優越、議院内閣制と衆議院の解散もどうぞ。
ソクトケは無料で人権・行政手続法・民法総則から始められ、憲法(統治を含む)など全科目はプレミアムで○×演習できます → 無料で始める


