
2026年(令和8年)4月1日施行の民法改正は、父母の離婚後の子の養育に関する大きな見直しです。行政書士試験でも出題が予想される新論点で、受験生がまず押さえるべきは「離婚後も共同親権を選べるようになった」こと。ただし丸暗記は禁物で、「選べる」=「常に共同になる」ではありません。この記事で、共同親権・養育費・財産分与・親子交流の改正点を、改正前後の対比と○×で整理します。
この記事の要点
- 施行日は2026年(令和8年)4月1日(成立・公布は2024年〈令和6年〉5月)
- 離婚後の親権=父母双方(共同親権)も一方(単独親権)も定められる(改正前は一方のみ)。ただし虐待・DV等で子の利益を害する場合は単独親権としなければならない
- 養育費=取決めがなくても請求できる「法定養育費」(子1人月2万円)を新設/養育費債権に先取特権(子1人月8万円まで・債務名義がなくても差押え可)
- 財産分与=請求期間が2年から5年に伸長/寄与は原則2分の1
- その他=夫婦間契約の取消権(754条)と、裁判離婚事由の「強度の精神病」(770条)を削除
改正の全体像と施行日
2024年(令和6年)5月に成立・公布された「民法等の一部を改正する法律」が、2026年(令和8年)4月1日に施行されました。目的は、父母が離婚した後も子の利益を確保し、子を養育する親の責務を明確にすることです。改正は大きく次の領域に及びます。
- 親の責務の明確化(婚姻関係の有無を問わず、子の人格尊重・扶養・父母の協力義務)
- 離婚後の親権(共同親権の導入)
- 養育費の支払確保(法定養育費・先取特権)
- 親子交流(試行的実施・祖父母等との交流)
- 財産分与(請求期間の伸長・考慮要素の明確化)
- 養子縁組・その他
① 離婚後の共同親権(最重要)
| 項目 | 改正前 | 改正後(令和8年4月〜) |
|---|---|---|
| 離婚後の親権者 | 父母の一方のみ | 父母双方(共同親権)も一方(単独親権)も定められる |
| 決め方 | — | 協議離婚は父母の協議/協議が調わない・裁判離婚は家庭裁判所が子の利益の観点で指定 |
ただし、父母双方を親権者とすることで子の利益を害する場合には、単独親権としなければなりません。虐待のおそれや、DVのおそれその他の事情で父母が共同して親権を行うことが困難なケースが典型です(虐待・DVは身体的なものに限りません)。詳しくは離婚後の共同親権とは【令和8年改正】で解説します。
② 養育費(法定養育費・先取特権)
- 法定養育費:養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから暫定的に一定額(子1人当たり月2万円)を請求できる制度が新設されました(766条の3)。
- 先取特権:養育費債権に先取特権が付与され、債務名義(公正証書や審判書等)がなくても差押えが可能になりました。付与される上限額は子1人当たり月8万円です。担保物権では、この「子の監護の費用」が一般先取特権として整理されます(306条3号・308条の2)。
ソクのひとこと
③ 財産分与(2年→5年・原則2分の1)
- 財産分与の請求期間が、離婚後2年から5年に伸長されました(768条)。※施行前(令和8年3月31日以前)に離婚した夫婦の請求期間は2年のままです。
- 考慮要素が明確化され、財産の取得・維持への寄与の程度は、家事労働や育児の分担も含むため、原則2分の1ずつとされました。
④ 親子交流・その他
- 親子交流:父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律が新設されました(766条の2)。調停・審判前の親子交流の試行的実施の制度も整備されています。
- 養子縁組:養子縁組後の親権者が明確化されました(連れ子養子では、養親〈再婚相手〉とその配偶者である実親が親権者となります)。
- その他(削除に注意):夫婦間契約の取消権(754条)が削除され、裁判離婚の事由から「強度の精神病」(770条)が削除されました。
改正前 → 改正後 早見表
| 論点 | 改正前 | 改正後 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 離婚後の親権 | 一方のみ | 双方(共同)も選べる | 819条 |
| 養育費(取決めなし) | 請求できない | 法定養育費(月2万円) | 766条の3 |
| 養育費の差押え | 債務名義が必要 | 先取特権(月8万円まで) | 306条・308条の2 |
| 財産分与の請求期間 | 2年 | 5年 | 768条 |
| 夫婦間契約の取消権 | あり | 削除 | 754条 |
| 裁判離婚(強度の精神病) | 事由の一つ | 削除 | 770条 |
○×一問一答で総点検
○か✕を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
令和8年施行の改正により、離婚後は父母の双方を親権者と定めることもできるようになった。
改正前に離婚し単独親権と定めていた場合、令和8年の施行によって自動的に共同親権に変更される。
養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから暫定的に一定額の養育費(法定養育費)を請求できるようになった。
財産分与の請求ができる期間は、離婚後2年から5年に伸長された。
まとめ
- 施行は2026年(令和8年)4月1日。目的は離婚後の子の利益の確保。
- 離婚後の親権=双方も一方も選べる。ただし子の利益を害するなら単独親権としなければならない。
- 養育費=法定養育費(月2万円)/先取特権(月8万円まで・債務名義不要)。
- 財産分与=請求期間2年→5年・寄与は原則2分の1。
- 754条・770条は削除(削除論点は狙われやすい)。
改正の目玉である共同親権は、離婚後の共同親権とは【令和8年改正】で深掘りしています。親族法の土台は親子と親権・婚姻と離婚で、民法の全体像は民法とは?全体像で確認できます。
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