
許可・認可・特許の違いは、行政行為の分類(行政法総論)で最頻出の論点です。3つはどれも「お役所のOK」に見えますが、性質も、行政庁の裁量も、無断で行ったときの効力もまるで違います。定義・具体例・ひっかけまで、○×で見抜けるように整理します。
この記事の要点(3行まとめ)
- 許可=一般的禁止の解除(本来の自由の回復)/特許=新たな権利の設定(設権)/認可=第三者の法律行為の補充
- 裁量で割り切ると速い——許可は羈束(要件を満たせば原則交付)、特許は裁量(与えない自由あり)
- 効力の対比が頻出——無許可は原則有効(取締目的)/無認可は無効(効力要件)
まずは「何をしている行為か」で振り分ける
3分類は、行政庁がその行為で国民に何をしているかで決まります。フローで振り分けてみましょう。
- 許可は「命令的行為」。みんなが本来もっている自由を、安全等のためにいったん一般的に禁止し、要件を満たした人だけ禁止を解除してあげるイメージです(=自由の回復)。
- 特許は「形成的行為」。本来は誰ももっていない新しい権利・地位を、行政庁が設定します(=設権)。
- 認可も「形成的行為」ですが、行政庁が独自に権利を作るのではなく、当事者がした法律行為(契約・組合設立など)を補充して効力を完成させます(=補充行為)。
ソクのひとこと
一覧で押さえる(性質・裁量・具体例)
| 分類 | 性質 | ひとことで | 行政庁の裁量 | 具体例 |
|---|---|---|---|---|
| 許可 | 命令的行為 | 一般的禁止の解除=自由の回復 | 狭い(羈束的。要件充足で原則交付) | 自動車運転免許・飲食店営業許可・風俗営業許可・医師免許 |
| 特許 | 形成的行為 | 新たな権利・地位の設定(設権) | 広い(与えない自由がある) | 公有水面埋立免許・道路/河川の占用許可・電気事業の許可・鉱業権の設定 |
| 認可 | 形成的行為 | 第三者の法律行為の補充・効力の完成 | 事案による | 農地法3条の許可・公共料金値上げの認可・組合設立の認可 |
効力で差がつく——無許可は有効、無認可は無効
定義以上に差が出るのが、「必要なのに受けずにやってしまった」ときの私法上の効力です。ここは対比で暗記します。
| 必要な行為を受けずにやると | 私法上の効力 |
|---|---|
| 無許可(許可が要るのに無許可で営業など) | 原則 有効(許可は取締目的。別途、行政罰・営業停止等の対象にはなる) |
| 無認可(認可が要るのに無認可で契約など) | 無効(認可は効力要件。効力が生じない) |
| 無特許(特許なく公物を占用など) | そもそも権利が発生しない(不法占用にすぎない) |
たとえば、農地の売買は**農地法3条の許可(講学上の認可)を受けなければ所有権移転の効力を生じません(=無認可は無効)。一方、無許可で飲食店を営業しても、客との売買契約自体は私法上有効——許可は安全のための取締りだからです。この「許可=取締り/認可=効力のスイッチ」**の感覚が決め手になります。
法令の名前は当てにならない(最頻出ひっかけ)
最大の落とし穴は、法令上の名称と講学上の分類が一致しないことです。名前ではなく**中身(何をしている行為か)**で判断します。
- 公有水面埋立「免許」 → 講学上は特許(公物に独占的な使用権を新設)
- 河川・道路の占用「許可」 → 講学上は特許(本来ない占用権を設定)
- 農地法3条の「許可」 → 講学上は認可(売買契約を補充して効力を完成)
- 電気事業の「許可」 → 講学上は特許(独占的な事業の地位を付与)
なお、許可・認可・特許はいずれも「法律行為的行政行為」です。これに対し、建築確認・当選人の決定のような確認や、不動産登記・選挙人名簿への登録のような公証は「準法律行為的行政行為」で、別系統。混ぜないようにしましょう。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ3選
- 「自動車運転免許は公道を運転する権利を与えるものだから特許」→ ✕: 運転免許は一般的禁止の解除=許可です(本来の自由の回復)。
- 「農地法3条の許可を受けずにした農地の売買も、当事者間では有効」→ ✕: 講学上の認可なので、受けなければ無効(効力を生じない)。
- 「公有水面埋立免許は『免許』だから許可にあたる」→ ✕: 法令名に関わらず、講学上は特許です。
○×一問一答で総点検
Q1. 飲食店の営業許可は、要件を満たせば原則として拒否できない羈束的な行為であり、講学上の「許可」にあたる。
○: 一般的禁止の解除=許可で、許可は羈束的。要件充足で原則交付されます。
Q2. 農地の売買は、農地法3条の許可を受けなければ、その所有権移転の効力を生じない。
○: 同条の許可は講学上の認可(効力要件)。受けなければ無効です。
Q3. 河川敷の占用許可は、本来国民がもっている自由を回復させる講学上の「許可」である。
✕: 占用許可は、本来ない占用権を設定する講学上の特許です。
まとめ
- 許可=一般的禁止の解除(自由の回復・命令的行為・羈束)/特許=新たな権利の設定(設権・形成的行為・裁量)/認可=第三者の法律行為の補充(形成的行為)。
- 効力の対比——無許可は原則有効(取締目的)/無認可は無効(効力要件)/無特許は権利不発生。
- 法令名で判断しない。埋立「免許」・占用「許可」は特許、農地法3条「許可」は認可。
- 取消し・撤回(原始的瑕疵か後発的事情か)とセットで問われやすい論点です。
あわせて、許認可の取消し=不利益処分の手続を扱った聴聞と弁明の機会の付与の違いや、申請に対する処分と不利益処分の違いもどうぞ。手続と分類をつなげると定着します。
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