
契約不適合責任(民法562条〜)は、買った物が契約の内容に適合しないときに、売主が負う責任です。2020年施行の改正民法で、旧「瑕疵担保責任」を再構成したもの。買主がとれる4つの権利を軸に、図表と○×でわかりやすく整理します。
この記事の要点
- 契約不適合責任=引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約内容に適合しない場合の売主の責任
- 買主の4つの権利=①追完請求 ②代金減額請求 ③損害賠償請求 ④契約解除
- 追完・代金減額は売主の帰責事由が不要/損害賠償は帰責事由が必要
- 種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に「通知」しないと権利を失う(566条)
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任です。2020年4月施行の改正民法が、それまでの「瑕疵担保責任」を、債務不履行責任の一種として整理し直しました。旧法の「隠れた瑕疵」という要件はなくなり、「契約の内容に適合するかどうか」で判断します。
買主がとれる4つの権利
| 権利 | 条文 | 内容 | 売主の帰責事由 |
|---|---|---|---|
| ①追完請求 | 562条 | 修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し | 不要 |
| ②代金減額請求 | 563条 | 不適合の程度に応じて代金を減額 | 不要 |
| ③損害賠償請求 | 564条・415条 | 債務不履行の一般原則による | 必要 |
| ④契約の解除 | 564条・541条・542条 | 催告解除・無催告解除の一般原則による | 不要 |
追完請求と代金減額請求は、売主に落ち度(帰責事由)がなくても行使できます。一方、損害賠償だけは売主の帰責事由が必要(415条1項ただし書)です。ここが混同されやすい急所です。
代金減額は「催告」が原則
代金減額請求は、いきなりできるわけではありません。原則として、相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときに、はじめて減額を請求できます(563条1項)。ただし、追完が不能なとき、売主が追完を明確に拒絶したときなどは、催告なしで直ちに減額請求できます(563条2項)。
期間制限:知った時から1年以内に「通知」
種類・品質の契約不適合について、買主は、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、追完・減額・損害賠償・解除を求められなくなります(566条)。ポイントは2つです。
- 1年以内に必要なのは「通知」であって、訴えの提起や具体的な権利行使まではいりません。
- この1年制限は種類・品質の不適合の話です。数量の不適合や権利の不適合(他人物売買など)にはこの制限がなく、一般の消滅時効によります。
なお、売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは、この1年の制限は適用されません(566条ただし書)。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「契約不適合責任は、売主に帰責事由がなければ一切追及できない」→ ✕: 追完請求・代金減額請求は帰責事由が不要です。帰責事由が必要なのは損害賠償だけです。
- 「買主は、不適合を知った時から1年以内に訴えを提起しなければ権利を失う」→ ✕: 1年以内に必要なのは通知です(566条)。しかも種類・品質の不適合に限った話です。
- 「代金減額は、常に催告なしで直ちに請求できる」→ ✕: 原則は相当期間を定めた追完の催告が必要です(563条1項)。
- 「契約不適合が軽微であっても、買主は契約を解除できる」→ ✕: 不履行が軽微なときは解除できません(541条ただし書)。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は、修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しによる履行の追完を請求できる。
買主が代金の減額を請求するには、催告を要せず、直ちに不適合の程度に応じた減額を請求できるのが原則である。
契約不適合を理由に損害賠償を請求するには、売主の帰責事由が必要である。
種類・品質の契約不適合について、買主は不適合を知った時から1年以内に権利を行使する訴えを提起しなければ、権利を失う。
よくある質問(FAQ)
Q. 契約不適合責任とは何ですか?
A. 引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任です。買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除の4つを追及できます(562条〜)。
Q. 瑕疵担保責任とはどう違いますか?
A. 2020年施行の改正民法で、瑕疵担保責任が契約不適合責任に再構成されました。「隠れた瑕疵」という要件がなくなり、債務不履行責任の一種として統一的に整理された点が大きな違いです。
Q. 権利行使の期間制限はありますか?
A. 種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(566条)。数量・権利の不適合にはこの制限がなく、一般の消滅時効によります。
まとめ
- 契約不適合責任=目的物が種類・品質・数量について契約内容に適合しない場合の売主の責任。
- 買主の4つの権利=追完・代金減額・損害賠償・解除。
- 損害賠償だけ帰責事由が必要。代金減額は原則として催告が必要。
- 種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に通知(566条)。
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