
公定力・不可争力・不可変更力は、行政行為の効力をめぐる頻出論点です(執行力を加えて4つ)。名前が似ていて混同しがちですが、「誰が・いつ・なぜ争えなくなるのか」で整理すればクリアになります。定義・限界・判例を○×で押さえましょう。
この記事の要点(3行まとめ)
- 公定力=違法でも取り消されるまで一応有効として通用する/不可争力=出訴期間の経過で私人の側から争えなくなる
- 不可変更力=審査請求の裁決など争訟裁断行為について行政庁自身が取消・変更できない/執行力=行政庁が自力で強制執行できる
- 公定力も不可争力も、無効な処分には生じない/国家賠償は妨げない
4つの効力を一気に整理
| 効力 | 意味 | 誰に効く | 根拠・限界 |
|---|---|---|---|
| 公定力 | 違法でも取り消されるまで一応有効 | 国民・他の国家機関 | 取消訴訟の排他的管轄が根拠/無効には生じない |
| 不可争力(形式的確定力) | 出訴期間経過で私人から争えない | 私人(争う側) | 行訴法14条(原則6か月)/行政庁の職権取消は可 |
| 不可変更力(実質的確定力) | 行政庁自身が取消・変更できない | 行政庁 | 審査請求の裁決など争訟裁断的行為に限る |
| 執行力(自力執行力) | 行政庁が自力で義務を強制執行 | 義務者 | 法律の根拠が必要(代執行法等) |
公定力——「とりあえず有効」とその限界
公定力は、行政行為に瑕疵(違法)があっても、権限ある機関(取消訴訟・職権取消)が取り消すまでは一応有効なものとして通用する効力です。根拠は取消訴訟の排他的管轄(違法を主張するなら取消訴訟で、という仕組み)に求めるのが通説です。
限界が2つあります。
- 無効な行政行為には公定力が生じない——重大かつ明白な瑕疵があれば、はじめから効力がなく、誰でもいつでも無効を主張できます。
- 国家賠償は妨げない——違法な処分でも、取消判決を前置せずに国家賠償を請求できます(最判昭36.4.21)。
不可争力・不可変更力・執行力
- 不可争力:出訴期間(行訴法14条・原則6か月、または処分の日から1年)が過ぎると、私人の側から処分を争えなくなる効力。ただしこれは私人を縛るだけで、行政庁の側からの職権取消は可能です。また無効な処分には不可争力は生じません(出訴期間の制限がなく、いつでも無効等確認訴訟ができます)。
- 不可変更力:審査請求の裁決のように紛争を裁断する行為(争訟裁断的行為)について、行政庁自身が後から自由に取消・変更できないという効力。すべての行政行為に生じるわけではありません。
- 執行力:義務を命じる行政行為について、裁判所の判決を待たず行政庁が自力で強制執行できる効力。ただし法律の根拠が必要で、代表例が行政代執行法です。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ3選
- 「不可争力が生じると行政庁も取り消せない」→ ✕: 不可争力は私人を縛るもの。行政庁の職権取消は可能です。
- 「公定力があるので違法処分には国家賠償を請求できない」→ ✕: 取消しを前置せず国賠請求できます(最判昭36.4.21)。
- 「無効な行政行為にも公定力・不可争力が認められる」→ ✕: 無効な処分にはいずれも生じません。
○×一問一答で総点検
Q1. 取消訴訟の出訴期間が経過して不可争力が生じた後も、その処分の違法を理由として国家賠償を請求することができる。
○: 不可争力は国家賠償請求を妨げません(最判昭36.4.21)。
Q2. 重大かつ明白な瑕疵があり無効な行政行為についても、取り消されるまでは公定力が認められる。
✕: 無効な行政行為には公定力は生じません。
Q3. 不可変更力とは、審査請求の裁決などの争訟裁断的行為について、行政庁自らが取消し・変更できないという効力である。
○: 不可変更力(実質的確定力)の説明として正しいです。
まとめ
- 公定力(取り消されるまで一応有効)・不可争力(私人が争えない)・不可変更力(行政庁が変更できない)・執行力(自力執行)。
- 公定力・不可争力は無効な処分には生じず/国賠は妨げない。
- 執行力は法律の根拠が必要(代執行法など)。
あわせて許可・認可・特許の違いもどうぞ。効力論は表で覚え、○×で固めるのが近道です。
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