
共有は、1つの物を複数人が持分をもって所有する状態です。カギは保存・管理・変更で必要な同意が違うこと。2023年施行の民法改正(共有関係の見直し)もふまえ、持分・共有物の管理・分割請求を整理します。
この記事の要点
- 持分=各共有者がもつ所有の割合。明らかでないときは相等しいと推定(250条)。持分の処分は各自自由
- 保存行為=各共有者が単独でできる(252条5項)
- 管理行為=持分価格の過半数で決する(252条1項。軽微変更・短期の賃貸借を含む)
- 変更行為(重大)=共有者全員の同意が必要(251条1項)
- 分割請求=各共有者はいつでもできる(256条。不分割特約は5年以内)
持分とは
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(249条1項)。持分の割合は法律の規定や合意で決まりますが、明らかでないときは相等しいものと推定されます(250条)。各共有者は、自己の持分を自由に処分(譲渡・担保設定)できます。一方、共有物全体の処分には全員の同意が必要です。
保存・管理・変更の区別(最重要)
| 行為 | 内容の例 | 必要な同意 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 保存行為 | 修繕、不法占拠者への明渡し請求 | 各自単独 | 252条5項 |
| 管理行為 | 利用・改良、軽微な変更、短期の賃貸借 | 持分価格の過半数 | 252条1項 |
| 変更行為(重大) | 形状・効用の著しい変更、売却 | 全員の同意 | 251条1項 |
2023年施行の民法改正で、形状又は効用の著しい変更を伴わない「軽微変更」は管理行為(過半数)で行えることが明確化されました。
共有物分割(256条)
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます(256条1項)。ただし、5年を超えない期間で分割をしない旨の特約(不分割特約)を結ぶことは可能です。協議が調わないときは、裁判所に分割を請求できます。
分割の方法には、次の3つがあります。
- 現物分割:物を物理的に分ける。
- 賠償分割(価格賠償):一人が取得し、他の共有者に持分の対価を支払う。
- 換価分割(競売):競売して代金を分ける(現物・賠償が困難なとき)。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「共有物の保存行為には、共有者全員の同意が必要である」→ ✕: 保存行為は各自単独でできます(252条5項)。
- 「共有物の管理に関する事項は、共有者全員の同意で決する」→ ✕: 持分価格の過半数で決します(252条1項)。
- 「各共有者は、他の共有者の同意がなければ自己の持分を処分できない」→ ✕: 持分は各自自由に処分できます。
- 「共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」→ ○: 256条のとおりです(不分割特約は5年以内)。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
共有物の保存行為をするには、共有者全員の同意が必要である。
共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるが、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
よくある質問(FAQ)
Q. 保存・管理・変更の違いは?
A. 保存行為は各自単独(252条5項)、管理行為は持分の過半数(252条1項)、重大な変更行為は全員同意(251条1項)です。
Q. 自分の持分だけを売れる?
A. 売れます。各共有者は自己の持分を自由に処分できます。共有物全体の処分には全員の同意が必要です。
Q. 共有物の分割はいつでもできる?
A. できます(256条)。ただし5年を超えない範囲で不分割特約を結ぶことは可能です。
まとめ
- 持分=明らかでないときは相等しいと推定(250条)。持分の処分は各自自由。
- 保存=単独(252条5項)/管理=過半数(252条1項)/変更(重大)=全員同意(251条1項)。
- 2023年改正で軽微変更は管理(過半数)に。
- 分割請求はいつでも可(256条。不分割特約は5年以内)。
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