
成年後見制度は、判断能力が不十分な人を保護する制度です。成年被後見人・被保佐人・被補助人の3類型で、保護者の同意権・取消権・代理権の範囲が変わります。違いを表で整理します。
この記事の要点
- 判断能力の程度で3類型:後見(欠く常況)>保佐(著しく不十分)>補助(不十分)
- 成年被後見人=後見人に同意権なし。日常生活行為以外は取消可(9条但書)
- 被保佐人=13条1項の重要な行為に保佐人の同意が必要
- 被補助人=補助開始・同意権付与には本人の同意が必要(15条2項)
3類型の比較
| 類型 | 判断能力 | 保護者 | 同意が必要な行為 | 代理権 |
|---|---|---|---|---|
| 成年被後見人 | 事理弁識能力を欠く常況(7条) | 成年後見人 | 同意権なし(日常生活行為以外は取消可・9条) | 包括的(859条) |
| 被保佐人 | 著しく不十分(11条) | 保佐人 | 13条1項の重要な行為 | 審判で個別付与(876条の4) |
| 被補助人 | 不十分(15条) | 補助人 | 審判で定めた特定の行為 | 審判で個別付与(876条の9) |
成年被後見人のポイント
成年後見人には同意権がありません。判断能力を欠く常況にある本人に、あらかじめ同意させても意味がないためです。したがって、たとえ後見人の同意を得て行った行為でも、取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せません(9条但書)。
被保佐人・被補助人のポイント
- 被保佐人:13条1項が列挙する重要な財産上の行為(元本の領収、借財・保証、不動産等の重要な財産の処分、訴訟行為、相続の承認・放棄など)には、保佐人の同意が必要です。同意のない行為は取り消せます。
- 被補助人:保護の範囲が最も狭く、補助開始の審判や同意権付与の審判には本人の同意が必要です(15条2項・17条2項)。本人の自己決定を尊重する趣旨です。
ソクのひとこと
試験で狙われるひっかけ4選
- 「成年後見人の同意を得た行為は取り消せない」→ ✕: 後見人に同意権はなく、取り消せます。
- 「成年被後見人の日用品の購入は取り消せる」→ ✕: 日常生活行為は取り消せません(9条但書)。
- 「補助開始の審判は本人の同意なしにできる」→ ✕: 本人の同意が必要です(15条2項)。
- 「被保佐人はすべての法律行為に保佐人の同意が必要」→ ✕: 13条1項の重要な行為に限られます。
○×一問一答で総点検
○か×を選ぶと、正誤と解説が表示されます。まずは自分で答えてみましょう(アウトプット練習)。
成年被後見人が成年後見人の同意を得てした法律行為は、取り消すことができない。
成年被後見人がした日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消すことができない。
補助開始の審判をするには、本人の同意が必要である。
被保佐人は、すべての法律行為について保佐人の同意を得なければならない。
よくある質問(FAQ)
Q. 成年後見人に同意権はある?
A. ありません。判断能力を前提に同意させる意味がないためで、後見人の同意を得た行為でも取り消せます(ただし日常生活行為は取消不可・9条但書)。
Q. 被保佐人はすべての行為に同意が必要?
A. いいえ。13条1項の重要な財産上の行為(借財・保証・不動産の処分・相続の承認放棄など)に限られます。
Q. 補助開始に本人の同意は必要?
A. 必要です(15条2項)。判断能力の低下が最も軽く、本人の自己決定を尊重するためです。
まとめ
- 3類型=後見(欠く常況)/保佐(著しく不十分)/補助(不十分)。
- 成年被後見人=同意権なし・日常生活行為以外は取消可(9条)。
- 被保佐人=13条1項の重要行為に同意必要。
- 被補助人=補助開始・同意権付与に本人の同意(15条2項)。
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